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オムライスに込められたメッセージ

 千夏ちなつ(黒髪ショートの女学生)を元に戻すのに必要なものはおそらく彼女が言っていた『愛』なのだろう。

 しかし、人によって愛の色や形は違う。それを考慮しつつ僕にできることと言えば……。


「千夏さん、今日の晩ごはん何がいい?」


「おいしいものがいいですー」


 いや、それ結構悩むのだが。


「えっと、なんかアレルギーある?」


「ないれすー」


「そっか。じゃあ、オムライスにしよう」


「いいですねー。あっ、ケチャップで文字書いてくださいねー」


「いいよ。なんて書けばいい?」


「えーっと、ですねー」


 僕がオムライスを作っている間、彼女はぼんやりテレビを見ていた。たまにあくびをしたり背伸びをしているさまを見ているとなんだか猫っぽくてかわいいと思った。


「おーい、オムライスできたぞー」


「はーい!」


 いるよなー、ごはんになると元気になるやつ。


「あのー、この料理、未完成なんですけどー」


「ん? あー、はいはい、ケチャップで文字を書けばいいんだよな」


 僕がケチャップで文字を書くと彼女は泣いて喜んだ。


「ありがとうございます! ありがとうございます! それではいただきます!」


「どうぞ、召し上がれ」


 チキンライスを卵で包んだ料理。それがオムライスだ。けど、これはただのオムライスじゃない。愛というかメッセージが込められているオムライスだ。


「あー! おいしい! おいしいですー!」


「そうか、そうか。おいしいか」


「はいー!」


 君が僕にあの文字を書くように言ったのはどうして何だろうね。

 ちなみにオムライスの意味は臆病者チキンの愛をふわふわの卵で包んだよ、さぁ召し上がれである。


「千夏さん」


「何ですかー?」


「今日、一緒に……風呂に入らないか?」


「いいですよー!」


 いいのか……。はぁ……『河童かっぱの聖水』の効果ってすごいなー。

 けど、ずっとこのままだと困るな。よし、やっぱりいてみよう。あの文字のことを。

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