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一目連

 私は無事、教室までたどり着きましたがなんだか誰かに見られているような気がします。気のせいでしょうか?


「うーん、あんまり深く考えない方がいいのかなー」


 私はそんな独り言を言うと英単語帳を開きました。

 放課後……。昇降口……。


「はぁ……やっぱり妖怪は苦手です。私のことジロジロ見てきますし、今にも襲いかかってきそうです」


「でも、誰にも襲われなかっただろ?」


「ええ、まあ……って、どうしてあなたがここにいるんですか?」


「いや、帰る家が同じなんだから当然だろ? さぁ、早く帰ろう」


「は、はい」


 この人、私が襲われそうになってることに気づいて何かしてそうですね。


「あ、あの」


「なんだ?」


「わ、私に何かしてますよね?」


「うーん、何もしてないわけではないね。ほら、君の頭上に今も監視役が」


「あー! やめてください! そういうの苦手なんですから!」


「まあまあ、そう言うなよ。今日一日、君のことを見守ってくれていた存在なんだからさ」


「う、うーん、じゃあ、少しだけ」


 私は一旦その場で止まって頭上を見ました。すると、そこには大きな目玉が一つあり私の顔をじーっと見ているではありませんか。


「あ、あのー、これ、何ですか?」


「三重県の代表妖怪『一目連『いちもくれん》』だよ」


「地○少女にそんなのいませんでした?」


「いたね。まあ、あれは元々」


「あー! ネタバレ禁止ですー!」


「はいはい。ちなみにこの一目連がピカピカ光りながら国中を走る回る様が一目散という言葉の語源だとかそうじゃないとかいわれてるよ」


「へえー、それでこの目はどんな妖怪なんですか?」


「妖怪というか神様だね。暴風雨を起こしてたらしいよ」


「へえー、ん? ちょっと待ってください。あなた、さっき三重県の代表妖怪って言ってましたよね?」


「え? あー、うん」


「も、もしかして各都道府県の代表妖怪の力を扱えたりするんですか?」


「……うーん、まあ、一応」


「ご、ごめんなさい! 私、色々失礼なこと言ってましたよね。あー、でも今さら謝っても遅いですよね。私、これから殺されるんですかね? それとも食べられちゃうんですかね?」


「どっちもしないよ。というか、鬼の力を抑制するために手に入れただけのものだから、本当は僕のものになるはずないんだよ」


「そ、そうなんですか?」


「うん。はぁ……早く人間になりたいな」


「で、でもなにかと便利ですよね? ほら、家事とか移動手段として使えば普通の人にはできないことできますよ」


「……そう考えていた時期はあったけど、最近はちょっと重いなーって思ってるよ」


「重い?」


「うん、力っていうのは見えないけどちゃんと重さがあるんだよ。しかもそれは日に日に重くなっていく。ほら、小さなミスが大事件に発展することあるだろ? あんな感じで思い知らせるんだよ。力を持つということは力の使い方次第でいろいろな使い道があってことだ。それは周りの人を喜ばせることもできるし不幸にすることもできる。だから、力を使う時は力に使われないようにしないといけないんだよ」


「な、なんだか難しいですね」


「無理に理解しようとしなくていいよ。きっと君には一生分からないから」


 私はその言葉を聞いて少しカチンときました。


「はいはい、どうせ私はバカですよー」


「いや、そういう意味じゃないんだ。ごめん、忘れてくれ」


「ふふふふ、別に拗ねてなんかないですよ。でも、今のは少しカチンときました。まるで私を突き放そうとしているみたいだったので。それとあなたは間違いなく人間です。妖怪はあなたみたいに客観視できません。自己分析もできません。なのであなたは胸を張ってください」


「今日の君、なんか変だね」


「ちょっとー、変とはなんですか、変とはー」


「はははは、冗談だよ」


「まったく、もうー! 何なんですかー!」

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