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高ランクの魂

 放課後。


「あー、今日は平和な一日だったなー。さて、帰るかー」


「ちょっと! ちょっと! 何か忘れていませんか!」


「うーんと、どなた?」


「いや! 今朝がっつり会話してたでしょ! 元の体に戻れなくなった女学生ですよ!」


「あー、うーん、そんなのいたかなー?」


「とぼけないでください! さぁ! 早く私を元の体に戻してください!」


「冗談だよ、ちゃんと覚えてるからそんな大声出さないでくれ。ここ一応、教室だから」


「いや、放課後の教室ですよね? 私たち以外誰もいないじゃないですか」


「いるよ。君の後ろの暗闇に」


「きゃー! やめてください! 私、幽霊とか妖怪とか本当に苦手なんですからー!」


 君、今霊体だってこと忘れてない? いや、まず自覚してるのかな? うーん、まあ、いいや。


「そっか。じゃあ、そろそろ本題に入ろう。とりあえず君の家まで案内してくれないか?」


「え? どうしてですか?」


「あー、ごめん。今のは忘れてくれ。僕はただ、君の体がある場所を知りたいだけなんだ」


「あー、そういうことでしたか。てっきりナンパかと思いました」


「いや、そこまで積極的なやつはそんなにいないと思うぞ。まずはお茶とかじゃないのか?」


「かーらーのー、ホテルへゴーっていう流れですよね?」


「うーん、まあ、否定はできないな。で? 君の体は今どこにあるのかな?」


「分かりません!」


「え?」


「今朝、目が覚めたらなぜか外にいました!」


「制服を着たまま?」


「昨日、制服を着たまま寝てしまって。多分、そのせいだと思います」


「なるほど。じゃあ、とりあえず君の体がある場所を教えてもらおうかな。今朝から僕たちを……いや、この子を尾行している三毛猫ちゃんに」


「俺はメスじゃねえ。オスだ」


「ね、ねねね、猫がしゃべった!」


 いや、君今霊体だからね? というか、僕も半分妖怪だからね? だから、しゃべる猫がいてもおかしくないぞ。


「なんというかツシマヤマネコ似の猫みたいな声がするな」


「誰だ? そいつは。俺は三毛猫のジョー。探偵だ」


「三毛猫で探偵……でも名前はホームズじゃないんだな」


「お前はさっきから何の話をしてるんだ? まあ、いい。それよりそこの嬢ちゃん、狙われてるぞ」


「知ってるよ。まあ、予想が確信に変わったのは夕方になってからだけどな」


「え? え? お二人ともさっきから何の話をしてるんですか?」


「人の命の重さは平等だ。けど、人の魂にはランクがある」


「そして、嬢ちゃんの魂は間違いなく高ランクだ」


「え? そうなんですか? なんか照れちゃいますねー」


「照れてる場合じゃないぞ。高ランクの魂を食べた妖怪は膨大な力を得られるんだから」


「え、えっと、つ、つまり私は今から妖怪に食べられるってことですか?」


「まあ、普通はそうなるな。けど良かったな、僕たちと出会えて。いや、そうなるように仕向けたんだろ? あんたは」


「さて、どうだろうな。来るぞ、小僧」


「分かってるよ。君はしばらくそこを動くな。何があっても」


「わ、分かりました!」


 彼女がそう言うとたくさんの妖怪たちが僕たちを取り囲んだ。さあて、どうやって倒そうかなー。

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