夜に話します
妹が作った料理はとてもおいしかった。
普通においしかった。おかしな味付けをしていそうで少し不安だったが、そんなことはなかった。
また作ってほしい。
「お話があります。少しこちらに来てもらえませんか?」
リビングに出現した座敷童子は僕にそう言うと、洗い物をしている妹に一瞬、目を向けた。
「それは別にいいけど、ここじゃダメなのか?」
「ダメです。とにかくついてきてください」
何なんだ? 何かやらかした覚えはないんだけど。
僕は少し疑問を抱きながら、彼女の後に続いた。
その様子を妹は横目で見ていた。
*
「それで? 僕に話って何なんだ?」
僕たちは僕の部屋のベッドに座っている。
「……少し気になっていることがあります」
「なんだよ」
本当、何なんだよ。
「最近、体の具合はどうですか?」
「え? あー、まあ、別に何ともないけど」
急にどうしたんだ? らしくないな。
「そうですか、そうですか。それは良かったです。いやあ、本当に良かったです」
「バカにしてるのか?」
なんか腹立つな……。
「いえ、別に」
「そうか」
今日はなんか変だな。
まあ、いつもそうなんだけど。
「話は終わりです。続きは今日の夜に話します」
「え? ああ、分かった」
何で夜に話すんだ?
「それでは失礼します」
彼女はそう言うと、その場から一瞬で消えてしまった。
相変わらず変なやつだな、あいつは。




