このバカ鬼!
あー、気持ちよかったー。でも、そろそろ気持ち切り替えないといけないわねー。
私は家に着く前に咳払いをした。声の調子を整えるためだ。私は落ち着いてゆっくり家の扉を開けた。
「ただい……」
「このバカ鬼!」
ええ……。座敷童子が私の顔面に頭突きした。
まあ、正確には私の体じゃないからそんなに痛くないんだけど。
「あなたはいったい何を考えているのですか!」
あー、雅人と入れ替わってることバレてる。せっかく声の調子整えたのに。
「えー、何のことかなー?」
「惚けないでください! あなた、人間を鬼火にしたでしょう!」
「いや、でもあのまま何もしてなかったら今頃この体の持ち主は」
「それはそれ! これはこれです!」
うっざ。
「あー、はいはい、あたしが悪うございました。ごめんなさい。これで満足?」
「いいえ、全然。それより早く雅人さんに体を返してあげてください」
「うーん、今はやめておいた方がいいかなー」
「はい?」
「強制的に入れ替わっちゃったから体にかなり負担かかったんだよねー。だ・か・ら……今日はこのままでいた方がいいよー」
「そうですか。分かりました。では、明日の朝になったら体を返してあげてください」
「はーい」
「嘘だったらあなたの体を燃やしますからね」
「はいはい。それじゃあ、おやすみー」
彼女はそう言うと、私の言うことをなぜか素直に聞いてくれました。なんだかとても嫌な予感がします。




