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生背中
僕たちが風呂から出ると、洗面所でふらついている夏樹(僕の実の妹)が目に入った。
「おい、夏樹。大丈夫か?」
「あー、うん、大丈夫だよー」
「いや、お前なんか変だぞ?」
「変じゃないよー。んー? なんかお兄ちゃんがたくさんいるー。変なのー」
誰かに酒でも飲まされたのかな? まあ、いいや。とりあえず酔いが覚めるまで大人しくさせよう。
「夏樹」
「なあにー?」
「部屋まで歩けそうか?」
「無理ー」
「そうか。じゃあ、おんぶしてやるから背中に乗れ」
「え? お兄ちゃんの生背中に乗っていいのー?」
「え? あー、そういえばまだ服を着ていなかったな。服着た方がいいか?」
「ううん、着なくていいよー」
「そうか。じゃあ、行くか」
「うん」
「童子」
「はい」
「夏樹がこうなった原因を調べてくれないか?」
「かしこまりました」
座敷童子の童子はそう言うと一瞬でどこかに行ってしまった。
さてと、夏樹を部屋まで運ぶか。
 




