あ、あなたは!
座敷童子の童子の説明によると透明人間(お姫様)は僕と同棲したいがためにインビジブル国の王子との婚約を完全に破棄し僕のところへやってきたそうだ。
「君の行動力すごいね。家出はまだ分かるけど婚約を破棄してまで一般人の僕を選ぶなんて」
「私は雅人さんのそばにいられるだけで幸せなのです。逆にそれ以外の男性のそばにいたら自然と仮面をつけてしまいます」
「つまり僕のそばにいる時だけ素の自分でいられるってこと?」
「はい! その通りです!」
童子はいったいどんな感じでこの子に僕のことを話したんだろう。
「そっか。でも、僕は君が思っているほど魅力的なやつじゃないよ?」
「少年よ! 先ほども言ったが、君はかなり魅力的だぞ!」
「あ、あなたは! 怪盗N!!」
えっと、この子は怪盗Nの正体が夏樹(僕の実の妹)だってこと知ってるのかな?
「おや、またお会いしましたね。プリンセス」
「黙りなさい! 変態!!」
「プリンセス、私は変態ではありませんよ、怪盗です」
「ムキー! やっぱり私、あなたのこと嫌いです!」
「奇遇ですね。私もです」
僕は二人がわちゃわちゃ話しているうちにこっそりリビングに向かった。
 




