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怪盗N

 透明人間(お姫様)の両親と会い、いろいろ話したあと僕たちは教会に向かった。

 この国のことはよく分からないけど、結婚式の準備を短時間で終わらせてしまうほどの人材や設備、技術があるということはなんとなく分かった。まあ、全部透明だから何が起こっているのかよく分からなかったんだけどね。

 式は順調に進行した。ウェディングドレスを着ている彼女はきれいだし、タキシードを着ている僕はいつもより気持ちがしゃんとしていた。

 指輪の交換を終え、誓いの言葉も述べた。つまり、あとは。


「それでは、誓いのキスを」


「……秘技! 黒髪の鎖!!」


「あーれー」


「あ、あなたあああああああああああああああああ!!」


「な、なんだ! 今のは!」


「新郎はどこに行ったんだ?」


「いたぞ! あそこだ!」


 スポットライトが僕と僕を黒い長髪で拘束している者に当てられる。バックにステンドグラスがあるな。ここから逃げるのかな?


「誰だ! お前は!!」


「私の名は『怪盗N』!! 私は日本の宝であるおに……この者を盗みにきたのだ!」


 黒いタキシードと白いペルソナと黒い帽子が特徴的なその人物は僕より身長が低い。


「ふざけないで! 早くその人を返しなさい! さもないとこの国でしか作れない存在を抹消する兵器を使いますよ!」


「ほう、そんな物騒なものがこの国にあるのですかー。しかし、こちらには文字使いがいます。そんなものとっくに破壊していますよ」


「ば、バカな! いくら文字使いでも外部の存在がそれに近づけば、それは自動でその力を発揮するはずです!」


「あなたがよく知っているちんちくりんのコケシ頭はただの文字使いではありません。基本なんでもできるスーパー文字使いなのですよ」


「そ、そんな! し、しかし、私にはまだ私の兵たちが」


「私の髪は優秀なので命令すれば何でもしてくれます。一時的に気管にふたをすることなど、容易たやすいものです」


 僕はバタバタと倒れていく兵たちを見ながら改めて妹の恐ろしさを知った。


「お、お願いします! 私からその人をとらないでください! 私にとってその人は私の希望そのものなんです!」


「そうか、希望か。では、自力でその希望を掴み取ってみせろ! では、さらばだ!!」


「か、怪盗のくせに予告状を出さないなんて三流よ!」


「何を言っているのですか? 私はきちんとあなたの髪の中に入れておきましたよ? ではではー!」


「あっ、本当だ……。ムキー! 覚えてなさいよ! 怪盗N!!」

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