私決めた!
夏樹(僕の実の妹)が透明人間に雑言を浴びせている間、透明人間は僕のことをずっとチラ見していた。
彼女はなぜか手で口元を隠している。うーん、なんだろう。恥ずかしいのかな?
「お兄ちゃん、私決めた! この人、追い出す!」
「まあ、待て。女の子を一人暗闇に放り出すわけにはいかないだろ?」
「でも、この人お兄ちゃんのこと狙ってるよ。いつ手を出してもおかしくないんだよ?」
「いやいや、そんなことないだろ。なあ?」
「わ、私はあなたとならどこへでも参ります」
あれ? なんか口調変わってないか?
「お兄ちゃん、この人はもうダメだよ。完全にお兄ちゃんにハートを奪われちゃったよ」
「え? そうなのか? 僕はそんな覚えないんだけどなー」
「お兄ちゃんは見えない手で女の子のハートを奪う大泥棒だよ。自覚ないの?」
「うーん、ないなー」
「そっかー。ねえ、お兄ちゃん。お兄ちゃん、ちゃんと性欲あるの?」
「ある、と思うぞ」
「じゃあ、今日は私をおかずにしてやってみてよ」
「えー、嫌だよ。こんなに愛らしい妹でやりたくないよ」
「あ、愛らしい!? えへへへ、お兄ちゃんに愛らしいって言われたー」
えっと、なんでそんなに嬉しそうなんだ?
「えっと、とりあえず今日は泊まってもらうってことでいいかな?」
「うん!」
なんだろう、女性絡みのトラブルって僕がなんとかした方がいいのだろうか?




