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手洗い鬼

 おかしいですね、そろそろ目を覚ましてもいい頃なのですが。


雅人まさとさん、家に着きましたよ。というか、もう朝ですよ。早く起きないと遅刻しますよ」


 ベッドに横になっている彼から命の鼓動があまり聞こえてこないのはなぜでしょう。どこか具合でも悪いのでしょうか。

 私がそんなことを考えていると彼はスッと上体を起こしました。


「おはようございます。気分はどうですか?」


「……」


雅人まさとさん、大丈夫ですか?」


「てを……」


「はい?」


「手を……洗いたい」


「あー、はい、分かりました。一人で立てますか?」


「うん」


 彼はまるで何かに操られているかのように洗面所へ向かいました。

 彼は今、満足そうな笑みを浮かべながら手を洗っています。


「うーん、たしか手を洗うだけの妖怪がいたような」


「香川県の代表妖怪『手洗い鬼』」


「そうそう、たしかそんな妖怪が……って、あなたが噂の雲外鏡ですね?」


「はい、そうです。まあ、なぜ雅人まさとさんが手を洗っているのかは分かりませんが、手を洗うことで彼の中にいる鬼がしようとしたことを水に流そうとしているのかもしれませんね」


「あなた、付喪神つくもがみのくせになかなか面白いわね」


「いえいえ、それほどでも」


 雅人まさとさんは手を洗い終わると、正気に戻りました。

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