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え? 何がだ?
合わせ鏡の件が解決したため夏樹(僕の実の妹)と凛(狐っ娘)が家に帰ってきた。
「お兄ちゃん! 無事!?」
「旦那様! 大丈夫ですか!?」
「え? 何がだ?」
「いや、だって……あれ? 町中にお兄ちゃんに関係あるものがうじゃうじゃいたような気がするんだけど、気のせいかな?」
「私も記憶が曖昧です。旦那様、何か知りませんか?」
なるほど。童子は文字の力で今回の事件に関わった人や妖怪の記憶を消したのか。
でも、僕はちゃんと覚えているな。何でだろう。一時的に童子の奴隷になっていたからかな?
「いいや、何も知らないよ。さぁ、晩ごはんの準備をしよう」
「あー、うん、分かった」
「はい、分かりました」
ありがとう、童子。お前のおかげで仕事が一つやったよ。
 




