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それは無理です
座敷童子の童子が僕のベッドで眠っている間、僕は部屋の窓を開けた。
すると、雲外鏡がやってきた。
「どうも! 雲外鏡です!」
「お前、最初から分かってたんだろ?」
「何のことですか?」
「とぼけるな。もうあの合わせ鏡はいらない。お前が処分しろ」
「それはできません。あれは所有者が死ぬまで何をされようと復活して所有者のそばに居続けますから」
「なんだ、それ。お前、それ最初に言えよ」
「ん? もしや鏡の近くに置いたおいた取扱説明書に目を通していないのですか?」
「は? そんなものどこに……あっ」
「まあ、今回はお互い非があったということですねー、はい」
こいつ、わざと取り説のこと言わなかったな。
「まあ、そういうことにしておこう。というか、もう来るなよ」
「それは無理です。私はあなたを監視するために地獄から派遣されたものですので」
「な、なんだって!? じゃあ、お前はこれからも僕に付きまとうのか?」
「そういうことになりますねー」
「はぁ……勘弁してくれよ」




