見えない侵入者捕獲作戦
次の日の夕方、同居人が家から突然いなくなる事件が起こった。まるで神隠しにでもあったかのように。
「あと残っているのは僕と童子だけか」
「そのようですね」
「そのようですねって、お前な……」
「この家の結界は強力です。そう簡単に侵入できるものではありません」
「いや、別にお前の結界がダメだと言っているわけじゃないぞ。僕が言いたいのは誰にも気づかれずに誘拐または拉致できる存在がこの家に確実にいるという事実を認めた上で対抗策を考えようってことだ」
「それができたら苦労しませんよ。あっ、そうだ。雅人さん、私と……」
「断る」
「まだ何も言っていませんよ?」
「言われなくても分かる。どうせ最期に忘れられない思い出を作りましょうとか言うつもりだったんだろ?」
「はい、その通りです。よく分かりましたね」
「褒めるな。悲しくなる」
「で? どうします? このままだと全滅してしまいますよ」
「うーん、そうだなー。よし、僕が囮になるから童子は気配を殺してどこかに身を潜めておいてくれ」
「……あまり気は進みませんが、それしか方法はありませんね。犯人は分身と本物の見分けがつくようですから」
「よし、じゃあ『見えない侵入者捕獲作戦』を始めようか」
「はい」
僕と座敷童子の童子は協力して見えない侵入者を捕獲することになった。まあ、おそらくそれすらもやつに筒抜けだろうが。
 




