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丸焼き

 カラフル焼肉とは。

 ニンジン、ピーマン、タマネギなどを切ったものと食べやすい大きさに切った牛肉を炒め、焼き肉タレで味付けした料理のことである。


「まあ、別にそれを作ってほしいわけじゃないから気にしなくていいよ」


「おおーっと! 両者ともにメモを取りましたー! お兄ちゃんのあれこれと旦那様のあれやこれやに記録されました! どちらも一歩も譲りません!」


「え? 何? 何なの?」


雅人まさとさんは黙っていてください! さぁ、先に動くのはどっちだー? おおーっと! 両者ともに動き始めたー! さぁ、どんな肉料理を作るのでしょうかー。んー? これは……な、なんと! 両者ともに自分の腕を切り落としました! これは妖怪だからこそできる芸当です!」


「な、なんでそんなことするんだ? 肉料理だよね? まあ妖怪の本体は魂だから痛覚を遮断すればできなくはないけど」


「では、ここでお二人にインタビューしてみましょう。夏樹なつきさん! どうして腕を切り落としたのですか?」


「お兄ちゃんの体の中には私の髪があるけど、私の血肉を食べてほしいから切り落としたんだよ?」


「なるほど! イカレてますねー! りんさんはどうでしょうか?」


「妖怪の腕は食べられてもしばらくの間、動くことができます。ですので、文字通り旦那様の胃袋をつかみにいきたいと思い、切り落としました!」


「なるほど! どっちも頭がおかしい! まあ、私も肉料理を作れと言われたらそうしますが」


童子わらこ、お前……」


雅人まさとさんを喜ばせられるのなら腕の一本や二本、安いものです。おおーっと! 両者ほぼ同時に腕の丸焼きを皿に盛り付けたー!」


 僕の目の前に夏樹なつき(僕の実の妹)とりん(狐っ娘)の腕の丸焼きが盛られた皿が置かれる。

 う、うーん、食べられるのかな? これ。


「さぁ! 雅人さん! 男らしくガッといっちゃってください!」


「残念だけど、どっちも食べられないよ」


「えー! なんでー!」


「そ、そんなー!」


「自分を大切にできない子は嫌いです。よって、この勝負は引き分けです」


「引き分けかー」


「引き分けですかー」


 どうして二人とも笑ってるんだ? 普通に怖いんだが。


「二人とも少し時間をあげるから、ちゃんとくっつけておくんだぞ」


「はーい!」


「はい」


「ということで、しばらく休憩とします。雅人さん、ちょっとお花を摘みに行ってくるので何か面白い話でもしていてください」


「夏樹の話でいいか?」


「ええ、いいですよ。まあ、別に夏樹さんの話以外のことを……たとえば、私の話なんかを……」


「そう、あれは夏樹がまだピンク色のタオルに包まれていた頃」


 あっ、これはダメみたいですねー。

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