生のお兄ちゃん
夏樹(僕の実の妹)の寝言がうるさくて眠れない。
「お兄ちゃん、そこはダメだよー」
夢の中の僕はいったいどこを触っているんだ?
「きょ、今日のお兄ちゃん、いつもより大胆だね」
大胆なのか。夢の中の僕は大胆なのか。
「あー! ダメダメ! そんなとこ舐めないでー!」
夢の中の僕はいったい何をしているんだ!
「うわあ、お兄ちゃんのお兄ちゃん。すっごいねー」
僕の僕? いったい何の話だ?
「ちゃんと入るといいなー」
入る? いったい何が入るんだ?
「あー! やっぱりすごすぎるよー! こんなの入んないよー!」
すごすぎる?
「む、無理やり入れないでー! 赤いの出ちゃうからー!」
赤いの?
「ぜ、全部入ったね。お兄ちゃん」
は?
「うん、いいよ。動いて」
いやいや、ちょっと待て。これって、もしかして。
「はぁはぁ……お兄ちゃん。気持ち、いい?」
よし、起こそう。このままだと色々マズイから。
僕は夏樹の肩を揺する。
「おい、夏樹。起ーきーろー」
「……ん、うーん……なあに? お兄ちゃん。何か用?」
「お前、さっきまでどんな夢見てたんだ?」
「えー? 夢ー? あー、そっかー。あれ夢だったのかー。残念」
夢と現実の区別がつかなくなってるのか?
これは結構マズイな。
「でも、良かったー」
「え?」
「夢の中のお兄ちゃん、顔がぼやけてたからあんまり興奮しなかったんだよねー。あー、やっぱり生のお兄ちゃんの方がかっこいいなー。お兄ちゃん、ギュッてしてー」
うーん、性欲処理ちゃんとできてるのかなー?
「はいはい」
「わーい! お兄ちゃんとハグしちゃったー。あー、幸せー。ずっとこうしていたい、なー」
え? もう寝たのか? 早いな。
「えへへへへへ、お兄ちゃーん♡」
うーん、まあ、いいや。
僕は夏樹を抱きしめたまま、ゆっくり目を閉じた。




