さとり
「百鬼雪天神部?」
「はい。ちなみに名前の由来は……」
僕は今、新しく作る部の説明をしている。
「それは分かります。部員全員の種族名の漢字を一つずついい感じに組み合わせたものですよね?」
「え? あー、はい、そうです。よく分かりましたね」
生徒会長の『飛美濃 覚』はニヤニヤ笑っている。
何がおかしいのかはよく分からないが、とりあえず説明を続けよう。
「えー、主な活動内容はボランティアでして……」
「初期は裏でテロリストや犯罪者たちを成敗するという活動内容だったが、それは諸事情により、なかったことにした」
ど、どうしてそんなことを知っているんだ?
覚は他人の心を読むだけの妖怪のはずなのに。
その時、僕の横に立っている羅々の顔から滝のように汗が出ているのに気づいた。
なるほど。つまり、お前のせいで会長にそのことがバレたんだな。
「はい、そうです。まあ、それは僕の鬼の力が暴走するのを防ぐためなんですけどね」
「なるほど。そういうことでしたか。ふむふむ」
幼女体型。薄紫色の髪は短めで目の色は金色。
彼女の背後にズラっと並んでいる『さとり様を守り隊』のメンバーの視線はずっと正面を見ている。
生きてはいるが、何かの術で操られている。
「まあ、細かいことは、また後日ということにしてもらえないかな? 私も色々と忙しいんだよ」
「それは別に構いませんが、その後日というのは、いったいいつになるのか教えていただけませんか?」
彼女は僕の目の前に一瞬で移動すると、僕の右手の甲に人差し指で『三』と書いた。
「じゃあ、そういうことで」
「あっ、はい、分かりました」
それから家に帰るまでのことはよく覚えていない。
ただ、座敷童子の童子がよくやる技と酷似していたということは分かった。