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紅の舞!!
家出中の白猫が爆睡している。
仕方ない、抱いてやろう。
僕が彼女を抱きかかえると、草むらに身を潜めていた猫たちが姿を現した。
「おい、人間! この国をどうするつもりだ!!」
「え? いや、観光しに来ただけだけど」
「嘘をつくな! この国を滅ぼしに来たんだろ!」
「いや、だから……」
「問答無用! かかれー!!」
『うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!』
話を聞いてくれない。
はぁ……血の気が多いんだな……。
僕が一蹴しようとすると、椿さんが僕より先にそれをした。
「椿式忍法! 紅の舞!!」
『ぐああああああああああああああああああ!!』
椿さんの周囲に出現した椿の花びらが猫たちにヒット。
舞というより波のようだな。
「な、なぜだ! なぜ邪魔する! そいつは人間だぞ!」
「だから、どうした? このお方は今、この国を観光しているだけだ。もしこの国を滅ぼすつもりなら、とっくに実行している。さぁ、さっさとこの場から立ち去れ!!」
「ひ、ひいいいいいいい!」
「お、お助けー!!」
椿さんって強いんだな。
さすが忍者!!
 




