意味深
「お二人とも、今日はもうこの辺にしてください。いいですね?」
『……はい』
昼休みが終わる直前に葵(雪女)が放った一言は二人の心身に全く響かなかったが、彼女の言うことを聞かないと、あとで面倒なことになりそうだと思ったため、二人はしぶしぶ返事をした。
「……次は必ず殺します」
「そんなの無理よ。だって、あんたは人を殺せないじゃない」
忍者の格好をした『木葉』がその場からいなくなる直前にそんなことを言った鬼姫。
彼女は歯ぎしりをすると、鬼姫とすれ違い様にこんなことを言った。
「……それは今のあなたにも当てはまるということを忘れないでください」
「そんなの分かってるわよ。またね、木葉」
鬼姫(雅人の体を借りている)がそう言うと、彼女は一瞬でその場からいなくなった。
その直後、予鈴が鳴り響いた。
「さてと……それじゃあ、授業とやらに出ましょうかね。みんな、また後でね」
鬼姫はそう言うと、屋上からいなくなった。どこかに転移したかのように。
放課後になると、彼女は彼に体を返した。
「なんか体が重い気がするけど、気のせいかな?」
彼がそう言うと、彼の幼馴染がひょっこり顔を出した。
「まーさーと」
「おう、なんだ?」
『百々目鬼 羅々』はニコニコ笑いながら、彼の机の上に座った。
「今から新しい部活を作るために生徒会室に行くんだけど、雅人も来るよね?」
「ああ、行くよ。というか、僕が行かないとお前が暴走するだろ」
彼女は楽しそうに、ニシシと笑う。
「まあ、その可能性は高いねー」
「笑い事じゃないぞ。まあ、僕も人のことは言えないけどな」
彼女は彼の頭に手を置くと、ワシャワシャと彼の頭を執拗に撫でた。
「な、なんだよ」
「べっつにー。なんかこうしてると落ち着くからやってるんだよー」
お前は僕を何だと思っているんだ?
「さてと、それじゃあ、行こっかー」
「ああ、そうだな。とっとと終わらせて、早く家に帰ろう」
僕がそう言うと、彼女は僕の手を掴んだ。
別に手をつなぐ必要はないと思うのだが……。
まあ、いいか。