椿隊
猫の国は平和だなー。
猫より緑の方が多いなー。
ん? そういえばあんまり猫見ないな。
僕がそんなことを考えながら歩いていると忍者の格好をした猫が現れた。
「君は……」
「お初にお目にかかります。本日、この国の案内をさせていただく椿隊の椿です」
「へえ、忍者かー。かっこいいなー」
「ダーリン、気をつけて。この子、ガチの忍者だから」
いや、猫って存在自体が忍者みたいなものだろ。
「我々はお二人に危害を加えるつもりはありません。どれほど体を鍛えても自然災害には敵いませんから」
それって、僕のことかな?
いやいや、僕はそこまで強くないよ。
というか、そもそも僕の力じゃないし。
家出中の白猫は椿さんを警戒している。
別に悪い人……いや悪い猫ではないと思うのだが。
「では、さっそく参りましょう。あまり長居すると首を持っていかれますから」
「は、はぁ」
僕は今まで田舎=平和だと思っていた。
しかし、それは違った。
なぜなら、そのへんの草むらに目をやると殺意が込められた眼光を浴びせてくる猫たちがうじゃうじゃいるからだ。
田舎って怖いなー。
情報伝達スピードが半端ないよー。




