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あるけど、ない
今日は家出中の白猫とデートをする。
冗談で猫の国に行きたいと言ったら本当に行くことになった。
猫の国って本当にあるんだなー。
「ダーリン、とりあえず神社に行きましょう」
「神社? 山の上にある神社か?」
「違うわ。猫の神様を祀っている神社よ」
「そんな神社、このへんにあったかなー?」
「あるけど、ないわ。猫たちにしか見えないし、たどり着けないようになってるから」
「そうか。でも、例外があるんだろ?」
「まあねー。ダーリン、私を抱き上げて」
「え? あー、分かった」
僕が彼女を抱き上げると彼女は自分の肉球で僕の鼻を押した。
「はい、これでオッケーよ。さぁ、行きましょう! ダーリン!」
「あ、ああ」
えーっと、あれかな?
遊園地とかでたまにある手の甲にスタンプを押してもらうとそれが入場券の代わりになるやつかな?
まあ、いいや。
とりあえず彼女についていこう。




