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狐の嫁入り

 水族館デートの帰り道。

 晴れているのに雨が降り始めた。

 天気雨だ。

 ん? 待てよ。

 天気雨ってたしか別名があったような。

 僕がそんなことを考えていると、鈴の音が聞こえてきた。

 あれ? なんか霧が出てきたぞ。

 これはいったい……。


雅人まさとさん、気をつけてください。これは狐の嫁入りです」


「え? あー、そうか。だから、天気雨なのか」


雅人まさとさん、早くここから離れましょう。嫌な予感がします」


「え? あ、ああ」


 座敷童子の童子わらこが僕の手を掴む。

 その後、彼女は鈴の音から逃げるように走り始めた。


「なあ、童子」


「何ですか?」


「なんか鈴の音が追いかけてくるんだが」


「気のせいです」


「いや、でも……」


「気のせいだと思わせてください。私だって不安なんです! 怖いんです! 狐なんかに雅人まさとさんを奪われたくないんです!!」


「童子……」


 僕は走るのをやめると宮崎県代表のやんぼしの力を使って特殊な雲を作った。


「童子、お前はこれに乗って家に帰るんだ」


「い、嫌です! 雅人まさとさんを置いていけません! 一緒に帰りましょう!」


「狐の狙いは僕だ。僕と一緒にいたらきっとケガをする」


「ケガなんかすぐに治ります! 私も一緒に戦わせてください!」


「ダメだ!」


「なぜですか!!」


「お前がケガするところを僕が見たくないからだ」


雅人まさとさん……」


「ほら、早く乗れ。巻き込まれるぞ」


「分かり、ました」


 彼女が雲に乗るとその雲は僕の家に向かって飛び始めた。


「最後の最後で悲しい思いをさせちゃったなー」


 鈴の音が止む。

 音が止んだということは止まったということだ。

 いつのまにか狐のお面を被った変人たちが僕を取り囲んでいる。


「お前たちの目的はなんだ? 答えろ!!」


 僕が大声でそう言うと小さな女の子がこちらに向かって走ってきた。


「やっと出会えた! 私の運命の人!!」


「は、はぁ?」


 僕の足にしがみついたその子の頭にはもふもふのケモミミがついており、尾骨あたりからもふもふのシッポが生えていた。


「もう離さない! あなたは今日から私の旦那様よ!」


「は、はぁああああああああああああああああ!?」

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