580/1936
水族館
座敷童子の童子は僕と手をつないだまま下を向いて歩いている。
僕と手をつなぐの、そんなに恥ずかしいのかなー?
今までそれ以上のことをされてきたような気がするんだけどなー。
まあ、いいや。とりあえず今日は童子とのデートを楽しもう。
「童子」
「ひゃ、ひゃい!?」
なんだ? 今の声。もしかして緊張してるのか?
「えっと、これからどこに行く予定なんだ?」
「え? あー、えーっと、水族館に行きます」
「水族館かー。魚とか好きなのか?」
「魚というか、クラゲが好きです」
「あー、クラゲかー。なんかかわいいよな、ふよふよしてて」
「はい」
僕たちはそんな話をしながら水族館に向かった。
開館前に目的地に到着。
おっ、そこそこ人がいるな。
はぐれないように気をつけないといけないな。
「童子、はぐれないように気をつけろよ」
「わ、私は子どもではありません! 迷子になんかなりません!」
「そうだよなー、童子は僕よりしっかりしてるから迷子になんかならないよなー」
僕が彼女の頭を撫でると彼女は「子ども扱いしないでください!」と言いながらその場で跳ねていた。
 




