刺激が欲しい
試作品3号こと、みっちゃん(人造妖怪)が目を覚ましたのは夏樹(僕の実の妹)との会話が終わってから少し経った頃だった。
「ふわあああああ……。あっ、おはよう。お兄たん。今日もかっこいいね。朝からキュンキュンしちゃうよ」
「お、おはよう。みっちゃん。気分はどうだ?」
「うーん、普通かなー」
普通、普通か……。
「まあ、これから毎日お兄たんの顔を見られるわけだから、多分日に日に性欲が増していくと思うよー」
「性欲限定なのか……」
「お兄たんも性欲増し増しになっていいんだよ? 私はいつでも準備できてるから。なんなら、今からでも」
「あー! そろそろ朝ごはんの時間だー! さぁ、みっちゃん早く行こう」
あっ、話の話題変えた。
まあ、いっか。これからじっくり私色に染めていけばいいんだから。
「はーい」
な、なんだろう。昨日まで幼女だったはずの子が急に大人の姿になったからかな? みっちゃんを見ているとなんかこう体の中から得体の知れない何かが溢れてくる。
あー! もうー! いったい何なんだよ、この感じ!
「ねえ、お兄たん」
「なんだ?」
一階に向かうには背中にみっちゃんを背負わなければならない。
つまり、まあ背中に色々と当たっているわけで。
そんな状況で耳元で囁かれたら大抵の人はきっとビックリしてしまうだろう。
「今日も激しくしていいよ」
「は、はぁ!? 今日もってなんだよ!? 僕はみっちゃんに何もしてないぞ!!」
「あははははは、お兄たん耳真っ赤だよー。もしかして照れてるの?」
「て、照れてなんかない! 照れてなんか」
「ふーん、そうなんだー」
「あんまり人をからかうな。特に異性は」
「んー? なんで異性を強調したの? ねえねえ、教えてよ、お兄たん」
「そ、それは……し、知らん! この話はもう終わり! さっさと朝ごはん食べに行くぞ!」
「はーい」
顔を見なくても分かる。
みっちゃんは今、笑っている。
僕をからかうのがそんなに楽しいのか?
照れてるお兄たんはかわいいなー。
でも、もう少し刺激が欲しいなー。
私に屈服している時の表情とか、私に愛を求めている時の表情とか見たいなー。




