美人
朝、目を開けるととなりに美人がいた。
「え?」
うーんと、昨日僕は試作品3号こと、みっちゃん(人造妖怪)と一緒に寝たはず、だよな?
ということは……。
「みっちゃん」
「……お兄たん」
なあんだ、やっぱりみっちゃんかー。脅かすなよー。
ん? でもみっちゃんってこんなに背高かったっけ? というか、他にもいろいろ成長してるし。そう、いろいろ。
「おい、みっちゃん。もう朝だぞ」
「……あと千年」
なんで千年なんだよ、せめて三年にしろ。
いや、それでも長いわ!!
「みっちゃん、みっちゃんってば」
「うるさいなー、もう少し寝かせてよー」
「……っ!?」
な、なんだ!? 目の前が真っ暗に!?
というか、息苦しい!! このままだと確実に窒息死する!! クソ! 離せ!!
僕はみっちゃんを離そうとしたが、見えない力で体を拘束されているため、それはできなかった。
「し、死ぬ……」
「お兄ちゃん、おはよう……って、その女は……誰だー!」
夏樹(僕の実の妹)! いいタイミングだ!
僕を助けてくれ!
「死ねー! 泥棒猫ー!!」
彼女の黒い長髪がみっちゃんの首を締めつける。
や、やめろ! そんなことしたら、みっちゃんが死んでしまう!
「黙れ、小娘。お兄たんは私のものだ」
みっちゃんは僕から離れると開眼した。
その目力で夏樹は壁まで吹っ飛んだ。
「かはっ!!」
「夏樹! 大丈夫か!!」
「お兄たん、少しの間下がってて。ちょっと本気出すから」
「やめろ! やめてくれ! みっちゃん! 夏樹はこの世にたった一人しかいない僕の大切な妹なんだ! 殺すなら僕にしろ! 夏樹に手を出すな!」
僕が両手を広げて彼女の行く手を阻むと、彼女はニコッと笑ってから僕をギュッと抱きしめた。
「その子が羨ましいよ。いいなー、お兄たんに愛されてて。いいよ、今回の件はなかったことにしてあげる」
「ほ、本当か?」
「うん。でも、今日は二度寝したい気分だから二度寝させてほしいなー」
「分かった。二度寝でも三度寝でもしてくれ」
「ありがとう、お兄たん。大好き」
彼女は僕の頬にキスをしてからベッドに横になった。
 




