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ごめんね
試作品3号こと、みっちゃんは他の人造妖怪より幼いが頭がいい。
しかし、体力はほとんどない。
彼女は今まで移動する時はほとんど風任せにしていた。
そのため立つことはできても歩くことができなくなってしまった。
どうやったら歩けるのかを忘れてしまったと言っても過言ではない。
ということで、僕は今彼女をおんぶしている。
目的地は家の一階にあるリビングだ。
「お兄たん」
「なんだ?」
「ごめんね」
「どうして謝るんだ?」
「お兄たんを試すようなことを言っちゃったからだよ」
「あれは……まあ、別に気にしてないよ。結果的にみっちゃんのこと少し分かったから」
「お兄たん……」
彼女は僕の首筋にキスをすると同じところを舌で舐めた。
「ちょ、いきなりどうした?」
「気にしないで。なんとなくそうしたい気分になっただけだから」
「そ、そうか」
「うん」
その後、僕とみっちゃんはリビングに着くまで無言だった。
 




