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ほぼ嘘

 試作品3号こと、みっちゃんは他の人造妖怪よりおさないがかなり腹黒かった。


「みっちゃん、僕はお前のものにはならないしお前が夏樹なつきを殺すつもりなら僕は全力でお前を止める。僕はいつ死んでもいいけど夏樹はこの世にたった一人しかいない僕の妹なんだ。僕は夏樹がいないとダメになってしまうし夏樹のためなら僕はどんなことでもする。けど、それが夏樹を裏切るようなことなら僕は全力で拒絶する。だから……」


「お兄たん」


「な、なんだ? みっちゃん」


「お兄たんは本当に妹思いのいいお兄たんなんだね」


「え?」


「あれ? もしかして本気にしてたの?」


「え? ちょ、ちょっと待て。つまり、今までのお前の発言は」


「そう。ほぼ嘘だよ。少しからかっただけ。私がその気になったらお兄たんたちはとっくにあの世に行ってるよ」


 な、なあんだ、そうだったのか。

 びっくりさせるなよー。


「そ、そうだったのかー」


「けど、私の抱き枕になってほしいっていうのは嘘じゃないよ。理由は誰かと一緒に寝ていないとまた迷子になる可能性があるからだよ」


「えっと、それは姉妹に頼めばいいんじゃないか?」


「火と水はお互いの温度を調整できる。闇と光は常に一緒にいた方がいい。で、風は自由。つまり私の思い通りにならないと私は自由を求めてまたどこかに飛んでいってしまうんだよ」


「そ、そうなのか?」


「うん、そうだよ。だからお願い。私の抱き枕になって。お兄たんとなら、きっと大丈夫だから」


「う、うーん、お前が寝てる間僕は何もしなくていいんだよな?」


「うん、そうだよ。お兄たんが望むのなら私にいたずらしてもいいけど」


「そんなことしないよ。えっと、じゃあ今日からよろしくな、みっちゃん」


「うん、よろしく。お兄たん」


 僕がみっちゃんと握手をすると、彼女は抱き寄せた。


「ちょ、いきなり何を……」


 彼女は僕の耳元でこう囁いた。


「いつか絶対、お兄たんを私のとりこにしてみせるからね」

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