実家のような安心感
試作品4号こと、よーちゃん(人造妖怪)は僕の家に着くとみんなに自己紹介をした。
その後、僕は夏樹(僕の実の妹)と座敷童子の童子に仲直りするよう言った。
だが、その必要はなかった。
なぜなら、二人は僕がいない間にちゃんと話し合いをしていたからだ。
二人は話し合いを通して家の雰囲気を悪くするくらいのことじゃないことにようやく気づき、仲直りしていた。
偉い! これなら僕がいなくても大丈夫だな。
僕が二人を褒めながら頭を撫でてやると二人の頬が少し赤くなった。
これで二人の方はどうにかなったが、よーちゃんはずっと僕の方を見つめている。
か、監視されている。僕ってそんなに信用できないのかな?
僕はそんなことを考えながら登校した。
よーちゃんは僕が学校にいる時もずっと僕を監視していた。
監視している時は蛍光灯と同化していた。光を愛し光に愛されている光の娘だからこそできる技だな、うん。
なーんて感心している場合ではない。
誰かにずっと監視されていない日はないけど、監視している人物が視界のどこかに必ずいるというのは結構辛い。
早くなんとかしなければ。
放課後になると、僕はさっさと家に帰った。
それから自室のベッドに横になった。
その直後、よーちゃんが僕の目の前に現れた。
「無駄だ、私から逃げることはできない」
「そんなつもりはないよ」
「そうか。では、なぜ早足で帰宅したんだ?」
「よーちゃんが学校の誰かに見つからないようにするためだよ」
「変な名前で呼ぶな! この半端者!!」
半端者……。
それは事実だ。僕もそう思っている。
けど、僕にとっては悪口ではない。
「それ、僕にとっては褒め言葉なんだよ」
「何? では、未熟者!!」
「それも褒め言葉だ」
「じゃ、じゃあ、半人前!!」
「それも褒め言葉だ」
「う、うー、じゃあ、バカ! アホ! マヌケ! ヘタレ! 女たらし!!」
「必死に僕をディスろうとしている、よーちゃん可愛いなー」
僕が彼女の頭を撫でると彼女は顔を真っ赤にした。熱でもあるのかな? そう思った僕は彼女の額に自分の額をくっつけた。
「な! なななな、何をする! この変態! 私を襲うつもりか!!」
「違うよ、なんか顔赤いから熱を測ってるだけだよ」
「そ、そうなのか?」
「うん、そうだよ」
こ、この男は本当に男なのか?
も、もしや私に魅力がないから襲ってこないのか!
うー! それはそれで悔しい!
よ、よし、試しにその気にさせてみよう。
そうすれば本性を現すだろう。
「あ、あー! 手が滑ったー!」
「おっと、大丈夫か? よーちゃん」
こ、こいつ本当に男か!?
私がこんなに迫っているのになぜ反応しないんだ!
で、でもなんだろう。こいつに抱きしめられているとなんだかとっても落ち着く。
すごく安心できる。なんだ? 何なんだ? この実家のような安心感は!!
「よーちゃん、大丈夫か?」
「だ、大丈夫だ! で、でももう少しだけこうしていたい。ダメか?」
「ダメじゃないよ、むしろ大歓迎だよ」
「ふん、変態め」
お姉様、私なんとなく分かりました。
お姉様がこの人の友達になった理由。
 




