妹が近くにいる
夏樹(僕の実の妹)は朝から頬を膨らませていた。
どうやら座敷童子の童子にいじめられたらしい。
「夏樹ー、いつまでハムスターごっこしてるつもりだー?」
「ごっこじゃないもん! というか、そんな遊びないよ!」
うん、これは普通に怒ってるな。
童子、お前いったい何をしたんだ?
「童子、お前が独占しているドレッシングを少し分けてくれないか?」
「嫌です。このごまドレは私のものです。どうしても欲しいのであれば、この書類にサインしてください」
朝から婚姻届を見せるな。
僕はまだ高2だぞ?
「二人ともいい加減にしてくれ。なんでそんなに怒ってるんだ?」
「童子ちゃんが私に変な夢を見せたからだよ!」
「あの程度の夢で怒らないでください!」
「あの程度ー!?」
あー、もうー、いったいどうすればいいんだ?
僕が頭を抱えていると、ひーちゃん(人造妖怪)が急に立ち上がった。
「妹だ……妹が近くにいる」
「え?」
「雅人! 一緒に来てくれ! 頼む!」
「え? あ、ああ、分かった」
朝ごはんまだ途中なんだが。
うーん、まあ、いいか。
そんな感じで僕はひーちゃんと共に家を飛び出した。
 




