あひゃひゃひゃひゃ!
今日もお兄ちゃんはかっこよかったなー。
何度キュン死しかけたことか。
はぁ……辛い。
でも、それが恋!! たとえ血がつながっていたとしても私のこの思いは不滅!! 誰であろうとこの思いを消し去ることはできない!!
「夏樹ー、湯加減はどうだー?」
「ふぇ!? あ、あー、うん! ちょうどいいよ」
「そうか。なら、良かった。あっ、そうだ。背中流してやろうかー?」
きょ、今日は無理だよー!
これ以上、お兄ちゃんに何かされたら私! 私!
「きょ、今日は大丈夫だよ。だから私が出るまで待ってて」
「分かったー。あんまり長湯するなよー」
「はーい」
あー、ビックリしたー。
お兄ちゃん、たまにいきなり来るからなー。
まあ、私が妄想に集中しているせいでそう感じるだけなんだけどね。
「お前は本当にお兄ちゃんラブだなー」
「は? 何? 悪い?」
私の後頭部にあるもう一つの口が何の前触れもなく口を開いた。
まったく、食事の時以外あんまり口を開かないでよ。
あなたは私じゃないんだから。
「いや、別に。でも、一度でいいからお前と入れ替わりたいなー」
「嫌だよ、そんなの。あなた、何するか分からないじゃない」
「信用ないなー。まあ、別にいいけど」
「ねえ、あなたって私の別人格なの?」
「さぁ? でもお前は一生このままだ。人間と結婚したら三日以内にそいつを食べちまう。そいつが食費をいくらでも出してくれる金持ちだったとしても、そこに愛がなければ同じ結果になる。かわいそうな女だなー、おい」
「別にいいもん。私、お兄ちゃんと結婚するから」
「まあ、それが一番いいな。あひゃひゃひゃひゃ!」
相変わらず気持ち悪い笑い方するなー、ホント迷惑。でもまあ、話し相手になってくれるくらいの知能はあるから別にそこまで困っているわけじゃない。
二口女って、その人の二面性が体に浮き出た存在なんじゃないかなー……なーんて、そんなわけないか。
私は風呂から出ると色々やってから自室のベッドに横になった。
 




