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百々目鬼
羅々が雅人に言ったのは、新しく作る部活の活動内容を少し変えようというものだった。
「それは……どこをどう変えるんだ?」
「それは……その……活動内容をボランティア活動だけにするっていう」
ん? ということは裏でテロリストや犯罪者をこらしめるっていうのをなくすということか?
「そうか。まあ、そうだよな。鉄鼠みたいなやつが出てきて、また戦う羽目になったら、僕だけじゃなくて、みんなもその戦いに巻き込まれる可能性は少なからずあるからな」
彼がそんなことを言うと、彼女は彼の手を握った。
「な、なんだよ」
「ねえ、雅人。雅人のそばにいるその子……誰?」
まさか……見えているのか?
鬼姫のことが。
「な、何の話だ? 見間違いじゃないのか?」
「私は百々目鬼なんだよ? 私の目で見破れないものはないよ」
羅々に隠し事はできない……か。
「お前の言う通り、僕のそばには鬼姫っていう鬼がいる。こいつは昔、大量虐殺をして、とある鬼の体に封印されたんだ」
「そっか。だから雅人のそばに、その子がいるんだね」
彼女がその子に目をやると、その子はニッコリ笑いながら手を振った。




