表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
537/1936

な・つ・き

 今のお兄ちゃんはお兄ちゃんじゃない。

 鬼に……鬼姫ききに体を乗っ取られている。


「ねえねえ、いつもみたいにこいつの腕に抱きつかないの? な・つ・き」


 私は少し離れたところから、そいつに殺意を向けた。


「お兄ちゃんの姿で、お兄ちゃんの声で、私の名前を呼ばないで! 耳障りだから!」


「あっ、そう。でも、学校に着くまではあたしがあんたのお兄ちゃん……いや、お姉ちゃんだよ?」


「お姉ちゃんなんていらない! 早くお兄ちゃんに体を返して!」


「やーだよ。あっかんべー!」


 こ、こいつ! お兄ちゃんの体でよくもそんなことを!

 夏樹なつき……。この体の持ち主、雅人まさとの実の妹。

 いいなー、こんなかわいい妹がいて。私も欲しいなー。

 まあ、鬼の願いなんて誰も叶えてくれないからなー。誰に祈ればいいのやら。


「ねえ、妹ちゃん。少し話をしてもいいかな?」


「やだ」


「まあまあ、そう言わずに。お姉さんとガールズトークしようよー」


「……してあげてもいい。けど、一つ条件がある」


「条件? あー、分かってるよ。それが終わったら妹ちゃんのお兄ちゃんに体を返せばいいんでしょ?」


「うん」


「うーん、どうしようかなー。お姉さん、鬼だから約束なんて守れないし守らないよー。けど、今日は気分がいいから特別にその願いを叶えてあげよう」


「本当に?」


「私の機嫌がいいうちは大丈夫だよー」


「そう。なら、早く始めて」


「オッケー。じゃあ、始めるよー」


 そんな感じでそいつはゆっくり語り始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ