言っておかないといけないこと
僕が屋上に行くと、もうすでに他のメンバーが集まっていた。
早いな、予鈴が鳴り終わる前に来たんじゃないだろうな?
そう思えるほど、速やかに集合していた。
まあ、今日は新しい部活を設立する記念日になる予定だからな。
自然と足が動いたんだろう。
彼がそんなことを考えていると、彼の幼馴染が彼を呼んだ。
「雅人!」
「おう、なんだ?」
『百々目鬼 羅々』は彼の目の前にやってくると、彼にこう言った。
「ねえ、雅人。あの日のこと、覚えてる?」
「あの日? あの日って、どの日だ? 去年のお前の誕生日か?」
彼女は首を横に振った。
「じゃあ、去年の僕の誕生日か?」
彼女は再び首を横に振った。
「じゃあ、去年の妹の誕生日か?」
「違うよ! 雅人が鉄鼠と戦った日のことだよ!」
あー、あの日か。
全然分からなかった。
「なるほど。あの日か。それで? あの日がどうかしたのか?」
「えっとね……あの戦いの後、私たち話し合ったんだよ。部を作るなら、ごっこ遊びはしないようにしようって」
ごっこ遊び?
いったい何の話だ?
「そうか。で? 今日、僕をここに呼んだのは、そのことを伝えるためか? それとも他に何か言わないといけないことがあるのか?」
「あるよ……。雅人に言っておかないといけないこと」
ほう、あるのか。
「そうか。じゃあ、聞かせてくれないか?」
「……分かった」
彼女は拳を作ると、心地よい風が吹き始めた直後、それを僕に伝えた……。