鼻血
みんなに女体化したことを伝えてから朝食を食べていると夏樹(僕の実の妹)がやってきた。
夏樹は少し気まずそうにしているが、それを顔に出さないように努力している。
なんだか申し訳ないな。はぁ……早く男に戻りたいなー。
僕がそんなことを心の中で願うと、その願いはすぐ叶った。
「お兄ちゃん! 元に戻ってるよ!」
「え? あー、本当だ」
僕は胸部と下腹部に触れて元に戻ったかどうかを確認する。
うん、ない。うん、ある。
どうやら元に戻れたようだ。
「やっぱりお兄ちゃんはお兄ちゃんがいい! お兄ちゃん、こっち向いて!」
「え? あー、うん」
「……ギュー!」
「こらこら、人前で抱きつくな。まあ、今回は結構レアなケースだから特別に許そう。よーしよし、僕はここにいるぞー」
ああ、そうか。やっぱり私はお兄ちゃんのことが好きなんだ。
こうやってお兄ちゃんの心臓の音を聞きながら、お兄ちゃんに頭を撫でてもらうのが好きなんだ。
お兄ちゃんのにおい、お兄ちゃんの肌、お兄ちゃんの体温……。
お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん……。
好き、好き、好き、しゅき、ちゅき……大好き。大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き……。
「夏樹。おーい、夏樹。鼻血出てるぞ」
「ふぇ? あー、本当だー。お兄ちゃん飲んでー」
「いやいや、そういうわけにはいかないよ。おい童子、ティッシュ取ってくれ」
「はい」
「ありがとう」
「はい、ちーん」
「ちーん!」
座敷童子の童子は僕たちのやりとりを見ながら白米を食べていた。
なんとなくおかずにされているような気がしたが、別に嫌ではなかったため放置した。
それにしても夏樹はまだまだ甘えん坊さんだなー。
 




