おそらく汗のせい
朝……夏樹の部屋……。
「お兄ちゃん」
「なんだ?」
「その……着替え……したいんだけど」
夏樹(僕の実の妹)があの夏樹が恥ずかしがっている。
今でも一緒にお風呂に入っているというのに今さらなぜ恥ずかしがるんだ?
あっ、そうか。今の僕は女だから意識しちゃうのか。ん? 普通それって逆じゃ……うーん、まあ、いいか。
「分かった。えっと、じゃあ先に朝ごはん食べててもいいか?」
「うん、いいよ」
「了解。じゃあ、またあとでな」
「うん、またあとで」
お兄ちゃんが部屋から出ていくと私は汗で濡れている、おそらく汗のせいでびしょびしょになっている下着を脱いだ。
制服のまま寝ていたからか肩が痛い。
まあ、私の黒い長髪は常時きれいなんだけどね。
私に同年代かつ同性の友達っていない。
家族になった女の子はいるけど、みんな私より年上か年下だ。
お兄ちゃんの幼馴染は同性だけど、友達ではない。
お兄ちゃんのことが好きな後輩さんたちも同性だけど、友達ではない。
私にはお兄ちゃんがいればいい。
それ以外、何もいらない。
私は一応、消臭剤を制服にかけた。
お兄ちゃんに臭いとか思われたくないから。
あっ、今はお姉ちゃんだっけ?
あー、もうー、ややこしいなー。
早く元に戻ってほしいなー。
私はそんなことを考えながら身支度をした。
よし! 準備オッケー! お兄ちゃん……いやお姉ちゃんと一緒に朝ごはんを食べよう!




