クチュン!?
授業中、僕宛てに紙切れが届いた。
そこには『昼休み、屋上に集合!』と書かれていた。
これは羅々の仕業だな。
多分……いや、確実に部活の件についてだな。
鉄鼠と戦わなければ、今頃『新しい部』ができてたからな。
まったく、あいつは今頃、どこで何をしているんだろうな。
というか、あいつは僕の鬼の力をどこで知ったんだ?
監視されている感じはなかったし、そんな気配も感じられなかった。
僕でさえ察知できない方法で監視できるのなら話は別だが、それができるのは今ところ座敷童子くらいだろうな。
けど、座敷童子は家の外に出たら弱体化するから、それはないな。
「クチュン!? ……?」
彼が座敷童子の『座敷 童子』のことを考えた時、彼女は何の前触れもなく、くしゃみをした。
だとしたら、偵察や監視に向いている妖怪が僕や僕の家の近くにいたことになるな。
小柄な妖怪の波動は察知しにくいから、おそらく小柄な妖怪でなおかつ、近所の人たちに怪しまれない外見じゃないと、すぐに気づかれる。
虫か? いや、それだと鳥に狙われるな。
猫か? いや、動いている時間より寝ている時間の方が長いから、それはないな。
犬か? うーん、ずっと同じ場所にいるとストレスが溜まって走り出しそうだから、それはないな。
うーん、今はまだ答えは出せそうにないな。
僕がそんなことを考えていると、終わりのチャイムが鳴った。
「おっ、昼休みか。よし、屋上に行こう」
彼はそう言うと、屋上へと向かい始めた。