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どこにいたの?
ひーちゃんとふーちゃんによる耳かきは普通に気持ちよかった。
学校の保健室であんなことをしてもいいのかと最初思っていたが、別に保健室で耳かきをしてはいけないという校則はない。
しかし、なんというかこう、なんとなくいけないことをしているような気分になった。
別に悪いことをしているわけではないのだが、ああいうのは家かお店でやってもらう行為であるわけで。
あー! もうー! こんなんじゃ残りの授業に集中できないじゃないか!
何か別のことを考えなくては……。
僕が廊下を歩いていると夏樹(僕の実の妹)が僕の胸にダイブした。
「おっとっと、どうしたんだ? 夏樹。僕に何か用か?」
「ううん、特に用はないよー。なんかお兄ちゃんに抱きつきたくなっただけー。というか、今までどこにいたの?」
「え?」
「え? じゃないよー。ねえねえ、お兄ちゃん今までどこにいたの?」
「あー、その、えーっと……ほ、保健室で少し休んでた」
「へえー、保健室かー。ふーん」
夏樹は何かに気づいている。
「……耳かき、気持ちよかった?」
夏樹は僕の耳元でそう囁くと、自教室に戻った。
 




