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夜になった
夜になったが試作品1号こと、ひーちゃんはまだ僕の体の中にいる。
「なあ、ひーちゃん」
「なんだ?」
「他人の体内にいる時、ごはんってどうしてるんだ?」
「ごはん? そんなものは必要ない。人造妖怪は霊力が供給されている限り、餓死することはないからな。が」
が?
「一応、味覚というものがあるから、その……」
「辛いのか?」
「ま、まあな」
お腹が空くことはないけど、おいしいごはんを食べることができない。
人間で例えると点滴で栄養補給をしている状態なのかな?
「そうか。まあ、そうだよな。食べたい時に食べられないのは辛いよな。明日起きたら元の姿に戻っているといいな」
「ああ」
「じゃあ、おやすみ」
「おやすみ、雅人」
「うん、おやすみ。ひーちゃん」
僕たちはその日、いつもより少し早めに寝た。
今日できることはもうないし、色々考えていても何も変わらないからだ。明日が楽しみだなー。




