小さな火の玉
試作品1号こと、ひーちゃんは僕が何かをしようとすると僕のそばまでやってくる。
「なあ、ひーちゃん」
「なんだ?」
「どうして僕を追尾するんだ?」
「雅人は私のエネルギー源だからな、できるだけ離れないようにしないとすぐ活動できなくなる」
「そうなのか? じゃあ、どうしてふーちゃんは平気な顔をしているんだ?」
「妹は私より霊力タンクが大きいんだ。だから、たまにそばにいればいい」
そうか。お前は1号だから、その霊力タンクとやらが小さいんだな。
「そうか。強く生きろよ」
「あ、ああ」
「じゃあ、僕は学校に行ってくるよ」
「では、私も同行しよう」
「ダメだ」
「雅人よ、今説明したばかりだろう? 私は雅人のそばにいないといけないのだ」
「それは知ってる。けど、お前がいると目立つし気が散るんだよ」
「ふむ。では、こうしよう。雅人よ、口を開けてくれ」
「はぁ?」
「いいから口を開けろ!」
「お、おう」
僕が口を開けると、ひーちゃんは小さな火の玉になった。
その後、僕の口の中に入った。
「ちょ! いきなり何してんだよ! 早く出ろ!」
「無理だ。というか、この姿になると必ず何かに寄生するんだ」
「はぁ!? ふざけるな! 今すぐ僕の中から出ていけ!」
「残念ながら今すぐ出ることはできない。なあに心配するな、学校が終わる頃には出られるようになる。さてと、では私は雅人の体の中を見学させてもらおうかな」
「あっ! こら! 勝手に人の体の中を見学しようとするな!!」
僕はひーちゃんを説得しようと試みたが、もう遅かった。
なぜなら、ひーちゃんはもうすでに僕の喉の奥まで侵入していたからである。
 




