いいもの
試作品1号こと、ひーちゃんは常に燃えているがそれは体内にある熱エネルギーが秘所を隠すために放出されているだけらしい。
なので別に風呂に入ってもそれは消えない。
「雅人ー! 背中を流してやろうか?」
「いや、結構だ」
「そ、そんなー。これから居候になる身としては背中を流すか体で奉仕するかの二択しかないのだが」
待て。なんで居候する流れになってるんだ?
というか、なぜその二択にしたんだ?
もっと他にあるだろう。
家事をやるとかライター係になるとか。
「色々とツッコミたいことはあるが、とりあえず前を隠してくれ」
「前? 私はいつも全裸だから隠す必要はないのだが」
こいつ、羞恥心ないのか?
うーん、人造妖怪はみんなこうなのかなー。
「お姉ちゃん、ご主人様はいつも自分で体を洗ってるから湯船に浸かるまでは何をしようとしても絶対断るよ」
「ふむ。試作品2号がそう言うのなら、そうなのだろう。では、私は先に湯船に浸かるとしよう」
「待て。お前まだ体洗ってないだろ?」
「ん? 知らないのか? 人造妖怪は基本的に風呂に入る必要はないぞ」
な、何!?
「人造妖怪はモンスターチルドレンの劣化版といわれているが私はそう思っていない。なぜなら私たちはアレとは違って最終目標が種の存続ではなく、妖怪というもっとも自然なものがありのまま生きられる社会を構築するために生み出された存在だからだ」
モンスターチルドレン?
種の存続?
社会を構築?
うーん、なんだかよく分からないが人造妖怪は妖怪にとっていいものだってことは分かったな。




