これあげるから
試作品1号こと、ひーちゃん大ピンチ!!
これは助け舟を出さないとマズイな。
「あ、あのな、夏樹。あれは」
「お兄ちゃんは黙ってて!」
「いいや、黙らない。なぜなら、ひーちゃんは僕の友達だからだ」
「ま、雅人」
「お兄ちゃんはいつもそうだよね。誰にでも優しくするから変な虫が寄ってくる。で、私が嫌な思いをするってことも分かってるのに放置する」
うん、まあ、そうなんだが……。
「お兄ちゃんはズルいよ。どうしてそんなに優しいの? こんなやつ、お兄ちゃんなら瞬殺できるでしょ?」
「ひーちゃんは僕と友達になりたいと言った。その言葉に敵意や殺意は感じられなかった。だから僕はひーちゃんと友達になった。ただそれだけだ」
「お兄ちゃんの霊力目当てで近づいたのかもしれないよ?」
「それはさっき言ってたな。けど、別に僕を殺してまで欲しているわけじゃない」
「まあ、それは……そうだけど」
夏樹(僕の実の妹)は黒い長髪を不規則にユラユラと動かす。
「雅人、話は終わったか? 終わったのなら早く水浴びを……」
「殺す!!」
あーあ、あと一押しでどうにかなったのに。
まあ、ひーちゃんは一応友達だから助けておこう。
「夏樹!!」
「何!!」
「これあげるから、おとなしくしてくれ」
「こ、これは!!」




