お化け屋敷
人造妖怪のふーちゃんは回転木馬……メリーゴーランドに乗っている。
遊園地ってすごいな、あんなに楽しそうなふーちゃん見たことない。
「ご主人様ー! 次はあそこ行こう!」
「んー? どこだー?」
ふーちゃんが指差していたのは『お化け屋敷』だった。
僕とふーちゃんは一応、そっち寄りなんだが。
まあ、いいか。人がどこまで妖怪を再現できるのか、この目で見ておきたいし。
「ご主人様……えっと、その……は、はぐれないように手をつないでほしいの。ダメ、かな?」
「ん? あー、別にいいぞ。はい」
「……あ、ありがとう」
ご主人様の手、とっても大きい。
なんだか安心する。
ふーちゃんの手、すごく小さいな。
この手でいつも物を運んだり、花に水をやったりしているのか。
とてもそんな重労働ができるとは思えない。
よく今まで生きてこられたな。
「ご主人様……あんまりギュッてしないで。優しくして」
「え? あー、ごめん。少し力を入れすぎた。えっと、これくらいでいいか?」
「あっ、うん。そ、それじゃあ、行こうか」
「ああ」
僕たちははぐれないように手をつないだまま、お化け屋敷の出口を目指して歩き始めた。




