意外とS
誰かが僕を呼んでいる。
「……様……主人様……」
誰だ? もしかして僕を呼んでいるのか?
僕がゆっくり目を開けると僕の顔をじーっと見つめている人造妖怪のふーちゃんがいた。
「ご主人様、おはよう」
「え? あ、ああ、おはよう」
「ご主人様、今日はいい天気だよ。どこか遊びに行こうよ」
「え? ああ、そうか。今日は休みだったな」
ふーちゃんは僕が上体を起こそうとすると顔をぐいと近づけてきた。
「ご主人様」
「な、なんだ?」
「今日はおはようのチューしてくれないの?」
「え?」
ちょ、ちょちょちょちょ! ぼ、ぼぼぼぼぼ、僕はそんなことした覚えはないぞ!
というか今日はってなんだよ! もしかして僕は無意識のうちにいつもおはようのキスをしているのか?
もしそうだとしたら僕は完全に頭のおかしいやつだ。
「ふ、ふーちゃん」
「何?」
「それは冗談、だよね?」
「さぁ? どうだろうね」
「え?」
ふーちゃんは僕の耳元でこう囁く。
「今、ご主人様の体の一部、すごく元気になってるよ。どうしてかな? もしかして私のせい?」
僕は慌てて下腹部に手を伸ばした。
う、うーん、別になんともないな。
「ふふふふ、動揺してるご主人様かわいい。元気になってるのは心臓だよ? ねえねえ、いったいどこだと思ったの?」
「そ、そんなの知るか! あんまり僕をからかうな!」
「別にからかってなんかないよ。ちょっといじめたくなっただけだよ」
ふ、ふーちゃんって意外とSなのかな?
「そ、そうか。えっと、まあ、こ、今回は許す」
「ありがとう、ご主人様。大好き」
彼女は僕の頬にキスをすると自室から出ていった。
もうー! いったい何なんだよー!




