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あばばばばばば……!!

 雅人まさとさんの様子がおかしい。

 お兄ちゃんの様子がおかしい。

 やっぱりご主人様の様子がおかしい。


「ご主人様」


「ふぇ!? な、なんだ? 何か用か?」


 やっぱりおかしい。

 ご主人様はいつもこんなに緊張してない。

 食事中だからかな?

 いや、そんなことない。

 いつものご主人様なら「ん? なんだ?」って言うはず。


「様子が変だよ? 熱でもあるの?」


 私がご主人様のひたいに自分の額を重ねようとするとご主人様は椅子から離れて床にしりもちをついた。


「べ、別に熱なんかないよ。僕はいつも通りだ」


雅人まさとさん」


「お兄ちゃん」


 当然童子(わらこ)ちゃんも気づいてるよね。まあ、私の方が先だけど。

 さすがですね、夏樹なつきさん。ですが、まだまだです。


「隠し事には話した方がいいものとそうではないものがあります。今回は明らかに前者です。ですから、遠慮なく話してください。怒ったりしませんから」


「ほ、本当か?」


「はい、もちろんです」


「じゃ、じゃあ、話すぞ?」


 僕は自分に文字の力を使ってしまったせいで一時的にかどうかは分からないが、ふーちゃんのことが好きになってしまったことをみんなに話した。


「……あれほど使うなと言っておいたのにあなたという人は」


「お、怒らないって言ったじゃないか! なんだ! そのゴミを見るような目は!」


「怒ってません。あきれただけです」


「お兄ちゃんはドジだなー。でも、可愛い。で? 今どんな感じなの? 苦しい? 辛い? 幸せ?」


 夏樹なつき、それは言わないといけないのか?


「分からない。でも」


「でも?」


「ふーちゃんの声が聞こえたり、顔が視界に入るだけでなんというか……胸が苦しくなる。体が火照ほてる」


 ふむ。それは……恋だね。


「お兄ちゃん、可愛い! ねえねえ、もっと照れてる顔見せて! ねえねえ!」


「や、やめろ! こんな顔、お前に見せたくない!」


「えー、別にいいじゃん。ほらほら、実の妹に見せてみ。見せてみ」


「し、しつこい!」


「ひゃー! お兄ちゃんが怒ったー!」


 はぁ……人前でイチャイチャするのは勝手ですが、せめて私の視界に入らないところでやってください。

 イライラするので。


「コホン……雅人まさとさん、とりあえずあなたは効力が切れるまでふーちゃんと接触しないでください。いいですね?」


「それは悲しい。ご主人様、私のこともっとよく見て」


 私がご主人様の両頬に手を添えるとご主人様の顔がトマトみたいな色になった。


「ご主人様、私はご主人様のこと好きだよ? ご主人様は私のこと、好き?」


「あ、あばばばばばば……!!」


 ふーちゃんにそう言われた直後、僕の意識はどこかに飛んでいった。

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