軽い拷問
一つ目小僧は僕と握手すると逃げるように窓から出ていった。
もう少しゆっくりしていけば良かったのに。
僕が窓を閉めようとした時、僕の背後に座敷童子の童子が現れた。
どうして分かったのか。それは今まで感じたことのない怒りに満ちた視線が僕の体に突き刺さったからである。
「あー、えーっと、童子さん。もしかして怒ってます?」
「怒ってなんかいませんよ。私はあなたが他の妖怪の力を制御できないことを知っていながら監視していなかった自分が許せないだけです」
「な、なるほど。えっと、それじゃあ僕はこれで」
僕が自室から出ようとすると彼女は僕をベッドに押し倒した。
「ちょ、いきなり何すんだよ!」
「静かにしてください。心臓の音を聞くだけです」
「そ、そうなのか? なら、最初からそう言えよ」
「逃げられると思ったので押し倒しました。何か問題ありますか?」
「いえ、ないです」
彼女は僕の心臓の音を聞くと何も言わずに腹パンした。
「ちょ……! い、いきなり何すんだよ!」
「痛覚はあるようですね。安心しました。次は感度チェックをします」
「え? 今ので終わりじゃないのか?」
「今のはマイナスの感度チェックです。次はプラスの感度チェックをします。ということで目を閉じてください」
な、なんだろう。今、目を閉じたらいけないような気がする。
「い、いやだ」
「は? キス……じゃなくて感度チェックをするだけですよ?」
「今、キスって言った! キスって言った!!」
「今日は鱚のフライを作ろうと思いまして」
「嘘だ! 絶対嘘だ!」
「うるさいですね。早く目を閉じてください。私の奴隷にしてしまいますよ?」
うっ……そ、それは嫌だな。
「わ、分かった。え、えっと、や……優しくしてください」
「はい、分かりました」
軽い拷問だな、これは。
はぁ……どうしてこうなるのかな。




