プロトタイプ
東京都代表の『一つ目小僧』がうちにやってきた。
窓から入ってきたから当然土足である。
「とりあえず座って話します?」
「敬語なんて使わないでください。あなたの方が強いんですから」
こ、こいつ、見ただけで相手の力量がどれくらいあるのかが分かるのか?
す、すごいな、洞察力がいいのかな?
「そ、そうか。えっと、じゃあ、君はいったいどんな力が使えるんだい?」
「独学ですが文字の力を使えます」
「ほう、文字の力か。んんんん!? ちょ、今なんて言った!?」
「え? あー、文字の力を使えますと言いました」
ま、マジか! こいつ、文字の力使えるのか!
童子以外の文字使いっていたんだな。
いるのは知ってたけど。
「え、えっと、それはあの文字の力か?」
「この家にいる本物の文字使いと戦ったら一瞬で負けてしまいますよ。僕が一日のうちに使えるのはせいぜい5回くらいです。本物はほぼ制限ないはずです」
「そ、そうなのか? でも、すごいじゃないか。あの文字の力のプロトタイプを使えるんだろ? いやあ、すごいなー」
「あなたの鬼の力の方がよっぽど強いですよ。あなた、もうほとんど妖怪ですよ」
そんなことまで分かるのか。
一つしか目ないのに……。
いや、一つ目だからこそ……かな?




