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私を食べて?
私を食べて?
「おい、それはいったいどういう意味だ?」
全身真っ赤な少女は僕の舌を甘噛みすると首筋をピクピク動かした。
「あー、あー、よし。私はあなたの血液。私はあなたの中にいて、いつもあなたを見ている。あなたは無茶ばかりして自分を大切にしない。どうして? ねえ、どうして?」
なんだよ、普通にしゃべれるのかよ。
「えっと、それはその……成り行きというか、勢いというか、いつのまにか無茶しないといけなくなってるというか」
「言い訳はいい。あなたはしばらく安静にしてて。これは体からのお願い。早死にしたくないでしょ?」
「お、おう」
彼女は僕の額にデコピンすると僕の前からいなくなった。
「いい? 私を食べていいのは、あなたが死にそうになっている時だけ。それと今あなたが言った言葉、忘れないでね?」
警告か、それとも忠告か。
どちらにせよ、しばらく安静にしないといけないのは分かった。




