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け、つ、え、き
真っ赤な世界に現れた真っ赤な少女。
彼女は今、真っ赤な病院の診察室にあるベッドの上で僕と一緒に横になっている。
「なあ、お前はいったい何者なんだ?」
「愛してる」
だから、なんで「愛してる」しか言えないんだよ。
それ以外の言葉を言うと爆発するのか?
「愛してるだけじゃ、さすがに分からないよ。なあ、そろそろ普通に話さないか?」
彼女は僕のお腹に人差し指を置くと文字を書き始めた。
わ、た、し、は……あ、な、た、の……け、つ、え、き。
「え? それじゃあ、ここは血管の中なのか? それとも赤血球の中なのか?」
ど、ち、ら、も……ち、が、う。
こ、こ、は……け、つ、え、き……。
「な、なるほど。えっと、じゃあ、君は血液を擬人化したものなのか?」
う、ん……。
「そっか。で? 僕に何か用か?」
あ、な、た、は……じ、ぶ、ん、を……た、い、せ、つ、に……し、な、い。
し、ば、ら、く……あ、ん、せ、い、に……し、て。
「うーん、そうしたいのは山々なんだけど僕にはやらないといけないことがあるんだよ」
な、ら……わ、た、し、を……た、べ、て。
「……え?」




