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病院
全身真っ赤な少女は僕を真っ赤な病院まで先導した。な、なんだ? ここは。
医者はちゃんといるのかな?
というか、僕はどこも悪くないぞ?
「なあ、ここは病院なのか?」
「愛してる」
肯定と受け取っていいのかな?
「えっと、僕はどこも悪くないんだけど」
「愛してる!」
つべこべ言うな! さっさと行くぞ! かな?
彼女は僕の手を引っ張るとズンズン進んでいった。
「へえ、中も真っ赤なんだな。目がチカチカするな」
「愛してる」
黙って歩け?
はいはい、分かりましたよ。
彼女は僕を一番奥の診察室まで先導した。
「愛してる」
「あー、はいはい、座りますよ」
僕が椅子に腰かけると彼女は聴診器で僕の胸の音を聞き始めた。




