461/1936
プールもか!
あー、水飲みたいなー。
昼休み、僕は水道の蛇口を捻った。
あんまりガブガブ飲むと体に悪いけど、少しくらいなら大丈夫だろう。
あれ? おかしいな。本来出てくるはずのものが出てこないぞ?
どの蛇口を捻っても水は出てこない。
いったい何が起こっているのだろうか。
「お兄ちゃん! お兄ちゃん! プールの水が消えちゃったよ!」
「なんだと! プールもか! なんてこった! いったい誰がこんなことを!」
夏樹(僕の実の妹)の黒髪が何かに反応する。
「ど、どうしたの? あっちに何かあるの?」
「お前の髪はいつもツヤツヤしてるから水分が多い場所を指し示しているのかもしれないな」
「そう、なのかな。まあ、とりあえず行ってみよう」
「そうだな。童子、いるか?」
「ええ、いますよ。話は一部始終聞かせてもらいました。とにかく夏樹さんの髪が指し示している場所まで行きましょう」
「ああ」
「うん!」
こうして僕たちは何の前触れもなく発生した不思議な事件に首を突っ込んでしまったのである。




