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何か隠した
廊下を歩いていると童子の声が聞こえてきた。
なぜか僕の名前を呼んでいる。
はっ! も、もしや! また妖怪に変なことされたのか!
僕はくびれ鬼や夜道怪の前例を思い出しながら童子がいる部屋まで駆け抜けた。
「童子ー! 大丈夫かー!」
「え? ま、雅人さん? どうしたのですか? そんなに息を切らして」
「どうしたもこうしたもない。お前が僕の名前を何度も何度も呼んでたから不安になったんだよ」
僕がそう言うと彼女はそーっと自分の背後に手を回した。
ん? 今何か隠したな。
「おい、お前今なんか隠さなかったか?」
「い、いえ、別に何も……。それより私に見せたいものがあるのでは?」
「あー、まあ、そうだな。えっと、これなんだけど」
僕は『妖地図』を広げてから彼女に手渡した。
「これが噂の『妖地図』ですが。この地図に載っている妖怪たちは消滅するとこの地図から消えます。まあ、あくまで噂ですが」
「へえー」
GPS並みに優秀な地図だな。
「まあ、とりあえず今日は寝てください。詳細は明日話します」
「分かった」




